犬の診療
予防医療
犬の医療の基本は予防から始まります。ワクチン接種・フィラリア予防・その他寄生虫(ノミ・マダニ・消化管内寄生虫)の駆虫が代表的なものです。
ワクチン接種により予防可能な病気は数多くあります。当院ではワンちゃんには6種混合ワクチンと8種混合ワクチンの接種をお勧めしています。人のワクチン同様万全ではありませんが、免疫を高めることで感染が疑われる地域へのお出かけや、他の子や人間とのスキンシップも安心して出来ます。また、犬では法律で定められている狂犬病予防接種を年1回行わなければなりません。
フィラリア症は、ひと昔前は死亡する事が多い病気の一つでしたが、近年予防薬の進化や飼い主様の意識向上により予防すれば感染により重症化する事がほぼ防げる病気になりました。地域によっては、年中予防しなければならない所もあります。関東圏内では5月~11月(もしくは12月)まで月1回の投薬で駆虫可能です。毎年、春先に血液検査を行い、感染の有無を確認した上で駆虫薬の投与を始めます。
寄生虫は体外と体内に寄生するものに分けられ、感染すると軽症例から生命を脅かす重症例まで様々な症状がみられます。フィラリア同様に駆虫薬で予防する事が可能ですので併せて投薬をお勧めします。
また、早期に去勢・避妊手術をする事で、年を重ねてからなり易い病気を防ぐ事が可能になります。手術に関しては病院にお問い合わせください。
病気
近年、動物医療は人医療にはまだまだ追いつきませんが、日々進歩しております。新しい病気・検査や治療方法の確立、新薬の製造が次々にされています。最も重要なのは、飼い主様による愛犬・愛猫の日々の観察です。「食欲がない」、「元気がない」、「吐いている」、「下痢している」、「どこか痛そう」、「毛づやが悪い」、「脱毛している」、「ふらつく」など、症状はこの他にも無数にあります。
また、症状がわかりにくい場合もあります。一つの症状をとっても、考えられる病気は数多くあります。本来ならば、このようなサインを見逃さないようにしなければいけませんが、動物の場合会話が出来ない為より確定診断が難しいのです。病気によっては、症状や検査数値の変化が表面に現れた時には7割〜8割の病状が進行している場合も少なくはありません。当院では、問診・視診・触診・聴診を重要と考えており、次に必要に応じて検査(機器による)を行います。検査結果に基づいて診断・治療を行います。些細な情報でも、診断や治療に結びつきますので、遠慮なくお話し下さい。
病気の治療も大切ですが、日々の健康維持や病気の早期発見も必要です。年に1回程度の健康診断(血液検査・レントゲン・超音波・便検査・尿検査など)をお勧めしております。
犬の予防医療
ワクチン
混合ワクチン:2種類のワクチンを扱っています
・8種混合ワクチン
・6種混合ワクチン
他のわんちゃんと触れ合う機会が多い環境であれば、お互いに病気を予防しておくことは必要です。また、旅行やアウトドアなどによくお出かけする場合にかかる可能性のある感染症に対して防御しておくことが重要です。ワクチンの普及で、ウイルス疾患に感染する数は減りましたが、接種を受けておくことで感染しても症状が重篤にならずに済む場合もあります。接種を希望される場合は、わんちゃんの一般状態(元気・食欲など)が良好であることが必要ですのでご注意下さい。また、ワクチン摂取後もアレルギー反応(顔の腫れ・蕁麻疹・発熱・嘔吐)が起こらないかよく観察が必要となります。
狂犬病予防注射
生後91日以上のわんちゃんに年1回接種が義務付けられています。新しくわんちゃんを飼った方は新規登録、お引越して住所が変わった方は登録変更が必要になります。1年中接種は可能ですが、基本毎年3月下旬から受付を開始して6月下旬までに接種していただくことをお勧めいたします。(継続登録の場合)また、混合ワクチン同様に、体調が良好で接種後もある程度観察が可能な日に来院をお勧めいたします。
フィラリア予防
蚊の吸血により感染する寄生虫の病気です。mf(子虫)を持つ動物を吸血した蚊に刺されることで感染が成立します。感染後約3〜4ヶ月で脱皮を繰り返し成長し、心臓の肺動脈に達します。その後成虫となり子虫を産生します。
フィラリアの予防は、5月〜12月まで行います。(蚊が出始めて1ヶ月後〜出なくなった1ヶ月後まで)予防薬を飲ませる前に血液検査を行い、mfの感染がないかを確認します。毎月の投薬をすることでほぼ完全に予防出来る病気です。飲むタイプ(錠剤・チュアブルタイプ)と滴下型のお薬をご用意しております。
ノミ・マダニ
ノミは環境によっては1年中、マダニは春先から冬前によく感染することが多いです。草むらによく入るのが大好きなわんちゃんや家の内外を出入りする猫ちゃんと同居している場合、感染する機会が増えます。これらに感染することで、他の病気に感染する恐れもあり、病気の中には人畜共通伝染病もあるため、予防しておくことが必要です。可能であれば毎月の予防をお勧めしますが、最低でもフィラリアの予防期間よりも1〜2ヶ月早く予防をスタートして年末まで予防していただくことをお勧めいたします。飲むタイプ(錠剤)と滴下型のお薬をご用意しております。
去勢手術と避妊手術
手術の目的は、繁殖・攻撃性・性行動の抑制やホルモンの影響を受けて発症する病気を抑制する為に行います。去勢手術は前立腺肥大症や肛門周囲腺腫及び会陰ヘルニアなどの抑制、避妊手術は子宮・卵巣の病気(子宮蓄膿症や腫瘍など)の抑制や乳腺腫瘍の発生率を低下させます。
手術は全身麻酔で行う為術前検査(血液検査・レントゲン検査など)が必要になります。去勢手術は日帰り、避妊手術は1泊2日となります。手術料金に関しては、検査の内容や有無によっても異なりますので、希望されるオーナー様は病院にお問い合わせ下さい。