猫の診療

予防医療

猫の医療の基本はワクチン接種・寄生虫(ノミ・マダニ・消化管内寄生虫・フィラリア)の駆虫・去勢及び避妊手術が代表的なものです。犬同様ワクチン接種により病気を予防する必要があります。当院では3種混合ワクチンの接種をお勧めしています。近年外出しない猫が多くなり、病気に感染する機会は減りましたがワクチン接種が必要ないわけではありません。また寄生虫の駆除・予防も大切です。

ワクチン接種により予防可能な病気は数多くあります。ワンちゃん(6種混合ワクチン・8種混合ワクチン)とネコちゃん(3種混合ワクチン)に年1回のワクチン接種を勧めしています。人のワクチン同様万全ではありませんが、免疫を高めることで感染が疑われる地域へのお出かけや、他の子や人間とのスキンシップも安心して出来ます。また、犬では法律で定められている狂犬病予防接種を年1回行わなければなりません。猫ちゃんもワクチン接種により、外出することでかかる病気を予防することが出来ます。

フィラリア症は、ひと昔前は死亡する事が多い病気の一つでしたが、近年予防薬の進化や飼い主様の意識向上により予防すれば感染により重症化する事がほぼ防げる病気になりました。地域によっては、年中予防しなければならない所もあります。関東圏内では5月〜11月(もしくは12月)まで月1回の投薬で駆虫可能です。毎年、春先に血液検査を行い、感染の有無を確認した上で駆虫薬の投与を始めます。

寄生虫は体外と体内に寄生するものに分けられ、感染すると軽症例から生命を脅かす重症例まで様々な症状がみられます。フィラリア同様に駆虫薬で予防する事が可能ですので併せて投薬をお勧めします。

また、早期に去勢・避妊手術をする事で、年を重ねてからなり易い病気を防ぐ事が可能になります。手術に関しては病院にお問い合わせください。

病気

近年、動物医療は人医療にはまだまだ追いつきませんが、日々進歩しております。新しい病気・検査や治療方法の確立、新薬の製造が次々にされています。最も重要なのは、飼い主様による愛犬・愛猫の日々の観察です。「食欲がない」、「元気がない」、「吐いている」、「下痢している」、「どこか痛そう」、「毛づやが悪い」、「脱毛している」、「ふらつく」など、症状はこの他にも無数にあります。

また、症状がわかりにくい場合もあります。一つの症状をとっても、考えられる病気は数多くあります。本来ならば、このようなサインを見逃さないようにしなければいけませんが、動物の場合会話が出来ない為より確定診断が難しいのです。病気によっては、症状や検査数値の変化が表面に現れた時には7割〜8割の病状が進行している場合も少なくはありません。当院では、問診・視診・触診・聴診を重要と考えており、次に必要に応じて検査(機器による)を行います。検査結果に基づいて診断・治療を行います。些細な情報でも、診断や治療に結びつきますので、遠慮なくお話し下さい。

病気の治療も大切ですが、日々の健康維持や病気の早期発見も必要です。年に1回程度の健康診断(血液検査・レントゲン・超音波・便検査・尿検査など)をお勧めしております。

猫の予防医療

ワクチン

3種混合ワクチン
猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症(3株)・猫汎白血球減少症(猫伝染性腸炎)が含まれています。室内飼いで他の猫ちゃんとの接触がない場合は基本3種混合ワクチンをお勧めしています。接種を受けておくことで感染予防にもなり、感染したとしても軽症で済む場合もあります。接種を希望される場合は、猫ちゃんの一般状態(元気・食欲など)が良好であることが必要ですのでご注意下さい。また、ワクチン接種後もアレルギー反応(発熱・嘔吐・顔の腫れ・蕁麻疹など)が起こらないかよく観察が必要となります。
また外出する猫ちゃんの場合、猫白血病や猫エイズに感染する可能性があるため感染の有無は調べておくことも必要です。

フィラリア予防

猫のフィラリア症は、成虫に発育するケースと発育しないケースで症状が異なります。呼吸器症状(発咳や肺炎など)や食欲不振や嘔吐、時に突然死を誘発する場合もあります。確定のための検査は難しく、犬のように抗原検査のみでは検出できない場合もあるため、各種検査を組み合わせて行います。予防方法は毎月1回外用薬の塗布を行い、予防期間は犬同様に5月から12月です。当院では滴下型タイプの予防薬を処方しています。

ノミ・他の寄生虫

外に出ない猫ちゃんにはノミが寄生しないと思いがちですが、人の出入りなどによっても侵入してきます。外と中を行き来する猫ちゃんがいる場合、感染する確率はより上昇します。ノミに感染するとアレルギー性皮膚炎を発症したり寄生虫感染の原因にもなります。また家の中で繁殖することで人間にも害を及ぼします。当院では、滴下型タイプの予防薬を処方しています。他の寄生虫に関しては、検便により検出した場合や体表に寄生している場合、早期の駆虫が必要となります。

去勢手術と避妊手術

手術の目的は、繁殖・攻撃性・性行動の抑制やホルモンの影響を受けて発症する病気を抑制する為に行います。去勢手術はマーキングや攻撃性などの抑制、避妊手術は子宮・卵巣の病気(子宮蓄膿症や腫瘍など)の抑制や乳腺腫瘍の発生率を低下させます。猫の乳腺腫瘍の80%は悪性の為、早期の手術により発生率を抑えることが出来ます。

手術は全身麻酔で行う為術前検査(血液検査・レントゲン検査など)が必要になります。
去勢手術は日帰り、避妊手術は1泊2日となります。手術料金に関しては、検査の内容や有無によっても異なりますので、希望されるオーナー様は病院にお問い合わせ下さい。猫の手術は大田区の助成制度がありますのでご利用下さい。

猫の去勢・不妊手術費用助成制度

大田区が手術費用の一部を助成する制度です。
飼い主さんがいる(または飼い主になる)場合と飼い主さんがいない(組織や団体)場合とに分けられます。いずれも(所有者、猫共に大田区在住でなければ制度を利用することはできません。

■飼い主さんがいる(または飼い主になる)場合、下記の金額が助成されます。
雄(去勢手術) :4000円/頭
雌(避妊手術) :8000円/頭
■飼い主さんがいない場合(組織や団体)
雄(去勢手術) :7000円/頭
雌(避妊手術) :14000円/ 頭

※飼い主さんのいない猫ちゃんに関しては、耳にV字カットを入れさせて頂くことが必須となります。

上記の値段が、手術料に再診料・検査料(手術当日検査のみ)・内服薬及び注射薬代他を合計した金額より差し引かれます。詳しくは、大田区のHPをご覧頂くか病院にお問い合わせ下さい。